top of page

二つのゴミ対策について

クレト 中村 道生神父

 五月晴れの旭川で、今年もゴミ拾いをしました。この取り組みは、「あさひかわサケの会」の主催で行われました。この会のホームページによると、2013年6月<石狩川を野生のサケのふるさとに>というキャッチフレーズを掲げスタートしたとの事です。会の目的は、「石狩川の環境保全と生態系の回復を通して、石狩川上流部に野生のサケを回復するとともにサケに関わる生活・文化・教育・歴史等の学習・調査一研究・普及活動を市民運動として行うこと」とあります。

 5月14日(土) 9:00~12:00、50名近い方が参加され、神楽岡公園に集合し、クリスタル橋~神楽橋迄の両岸と、神楽岡公園から東に大正橋付近までの3班に分かれてプラスチックごみを中心に「春の川クリーンウォーク」を実施しました。

資料によると、町から出たプラスチックごみは、風雨によって川などに運ばれて海に流れ込み、波などによって砕かれたり、紫外線で分解されたりして、小さなプラスチック片となります。これらの微細なごみはマイクロプラスチックと呼ばれ、5ミリメートル以下のものを言い、近年はこのごみによる海洋生態系への影響が懸念されています。基本的にプラスチックは自然に分解されることがないため、海域(環境中)に長期滞留し蓄積していくと考えられているとのこと。爽やかな旭川の自然の森の中で、ペットボトルやビニール袋を拾い集めながら、神さまの御業と人間の仕業のギャップを実感する時となりました。

翌日の15日(日)には、現在、北海道寿都町や神恵内村で行われようとしている、「核ゴミの地層処分に反対する宗教者ネットワーク」の主催で、「核のゴミと謂れなき犠牲の押し付け」に反対する講演会が、JR旭川駅のそばにある、真宗大谷派旭川別院で開かれました。講師の小出裕章さんは、東京電力福島第一原発事故が起きる三十年以上前から、研究者の立場で原発の危険性を指摘し続けてこられた方です。

 プーチンによるロシアのウクライナ侵攻の問題や本土復帰50周年を迎えた沖縄の問題と同じように、北海道の人口過疎の地域に押し付けられようとしている核ゴミの問題も真剣につながり、関わることの難しさを痛感しながらも、何かできればと願っています。主催者である「北海道の宗教者のネットワーク」は、北海道内の浄土宗、浄土真宗、日蓮宗、カトリック、プロテスタントなどの宗教者の有志でつくられ、私もカトリック札幌教区正義と平和協議会のメンバーの一人として参加していますが、ほとんど名前だけで、会場準備もお坊さん方がちゃんとしてくださっていました。

 私たち「宗教者ネット」は、この地域の人々と連帯するために、まず、核ゴミの地層処分に対する問題を学ぶための学習会を行うことにしました。講師は、「私たちの世代は、原子力発電が生み出す猛毒、核のごみの始末の仕方を知らないまま原子力の利用を続けている。どうしても原子力を止めなければならい」、「現在日本には 55 基、4900 万 kW 分の原子力発電所が動いていて、私たちは電気が欲しいといって原子力発電を動かしながら、毎年、広島原爆約 5 万発分に相当する死の灰を生み出しています。」力強く話され、最後に、「すべての命は等しくまもらなければない」と語られたのが今も心に残っています。

bottom of page