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星になった子

                              ヨブ・戸田三千雄

 

うちの子が、聖劇で星の役をすることになりました」と、ある母が報告に来ました。なにやら不満があるみたいでした。

思い出から、「星の物語」を記します。あなたの思い出を引き出せたら、うれしいです。

 

幼稚園のクリスマス会では、園児が劇をするのが習いでした。イエスさまのお誕生の様子を、福音の記述にならって演じるので、聖劇と呼ばれています。

母親たちは、自分の子どもにマリアさまやヨセフさまの役をやらせたいと願っていたものです。ある幼稚園では、マリアさまが何人もいるような有様でした。マリア1、マリア2、マリア3、と言うわけです。園長先生の苦心が分かり笑ってしまいました。宝塚の花組、星組、月組など。今なら「AKB 48」。大勢の主役がうまれます、妙案かも。

 

「うちの子に、博士たちを導く星の役なんて」と言うのです。星を見せながら、この子がホールの壁にそって動くだけの出演を想像すると、この母の気持ちが分かります。東の国から訪ねて来た博士役の方を、と希望していました。外国から訪ねて来た博士の役も目立つので、人数が増やされていたでしょう。主役になるのは、共通の願いです。星になって導いていく役、地味な役、でも意味深い役。希望の星が見えますか? 

 

後年になって「あなたはそう言いましたね」と言っても、「覚えていません」と言うのです。そういうものでしょう、これが人情ですね。

意義深いクリスマスの思い出あります? 何か思い出せませんか?

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