「神さまの家族」
中村 道生神父
私は、旭川の二つのカトリック幼稚園の「宗話」を月2回担当し、「神様のお話」をすることになっていますが、わかりやすく面白く伝えるのに苦労しています。「すべての命を大切に」を年間テーマに、イエスさまのみ言葉からスライドを作成し、これを見せながら話していますが、最近はネタが尽きたというか、後期高齢者になったせいもあってか行き詰っています。
今回も何を話すか頭を悩ましていましたが、「天におられる わたしたちの父」の言葉から、ちょっといいアイデアがうかびました。園児たちは、十字架の印や主の祈り、アベマリアの祈りをみんなよく知っています。そこで、落語の三題噺ではないですが、はじめは、園児たちのそれぞれの「私たちの家族」、次に、世界中のいろんな国の人々との繋りを示す「地球家族」、そして最後に、父と子と聖霊の「神様の家族」についていろいろなアイデアが浮かんできました。
はじめに、「サザエさんの家族」のスライドを見せながら、園児たちのそれぞれの家族紹介をしてもらいました。イエス様と同じく両親と3人暮らしの家族とか、双子の兄弟で4人暮らしとか、いろいろですが、5人以上の家族はほとんどなく、やはり核家族化は進んでいるようです。園児たちは、毎朝の祈りで「おうちのお父さん、お母さん、日本の国と世界の人がみんな幸せになるようにお守りください。」と祈っています。
それでつぎに、「地球家族」のイラストで、日本や世界の事件や事故などを通して、いろんな人々とつながっていること、またつながることの大切さを話し、ウクライナとロシア、中国と台湾、朝鮮半島の北と南の位置を世界地図で見せながら、みんなが幸せになれるように、平和が来ますようにと具体的なつながりを思い起こして祈るようにと話しました。
三番目は、父と子と聖霊の「神様の家族」の話です。ご存知のようにイエスはたびたび「天におられる父」の話をしておられますが、イエスが洗礼を受けられた時は、4つの福音書が同じように、「民がこぞって洗礼を受けていたころ、イエスも洗礼を受けて祈っておられると、天が開け、聖霊が鳩のように目に見える姿でイエスの上に降ってきた。『あなたは私の愛する子、私の心に適うもの』という声が、天から聞こえた。」(ルカ4,21-22)と伝えています。
さらに、聖パウロは、エフェソの手紙(2,19)で、「皆さん、あなた方はもはや、外国人でも寄留者でもなく、聖なる民に属する者、“神の家族”であり、」と述べ、さらに「天と地にあるすべての家族という呼び名はこの父に由来しています」(3,15)と言っています。
園児たちが、「私たちの家族」、「地球家族」、「神様の家族」の三題噺の説明で、毎朝唱える「主の祈り」のイメージを少し膨らませてくれたらと願っています。