日本の殉教者に思いをはせて
――四旬節を迎えるにあたって――
クレト 中村道生神父
私たちは、2月3日、福者ユスト高山右近を記念し、5日には日本26聖人殉教者を祝いました。私は5年前の2017年に大阪城ホールで行われた高山右近の列福式に、釧路から巡礼団と共に参加したのを思い出します。
今年の灰の水曜日は3月2日で、いつもの年より少し遅くなっていますが、四旬節は、イエスが荒れ野で40日間断食された事に由来し、洗練志願者の直前の準備の期間ともされ、洗礼を受けている私たちも、キリストの過ぎ越しの神秘に預かるように招かれています。また、この聖なる悔い改めの時を、第二バチカン公会議の「典礼憲章」では、『単に内的で個人的なものであるだけでなく、外的で社会的なものでなければならない。悔い改めの実践は、現代とそれぞれの地域の可能性、そして信者の状況に応じて促進されなければならない。』と訴えています。
ところで、日本26聖人の祝日の日の福音を準備しているときに、少し興味深いことに気付きました。この祝日は、日本の教会の祝日であることはもちろんですが、私たちのフランシスコ会日本管区にとっても、最も記念すべき大切な日として祝っています。この日、日本の教会の典礼では、マタイ28章の全世界への派遣にあたっての、「あなたがたは行って、すべての民を私の弟子にしなさい。」と、主の派遣のことばが選ばれています。確かに、ペトロ・バプチスタと同士殉教者たちは、東洋の果て、日本まで来て福音を伝え、命を捧げました。
一方、フランシスコ会日本管区の典礼では、マタイ16章の「私の後に従いたいと望むものは、己を捨て、自分の十字架を担って私に従いなさい」と、キリストの招きがあり、キリストへの従順が強調されています。殉教者たちは文字通り、キリストの招きに答え、自分の十字架を担ってキリストに従っていきました。ペトロ・バプチスタ一行6人はスペインからフィリピンに渡り、日本で殉教しましたが、福者ユスト高山右近はフィリピンに国外追放され、マニラで生涯を終えます。
殉教者たちは、キリストの招きに従い、世界に派遣されて行きました。今年の四旬節を迎えるにあたって、私は特に殉教者に倣って、「キリストの招き」に従い、派遣された場で福音を伝えることができたらと願っています。「典礼憲章」では、『悔い改めの実践は、現代とそれぞれの地域の可能性、そして信者の状況に応じて促進されなければならない』と言われていますが、このコロナの時代にあって、どのような福音宣教が求められているのでしょうか。教皇フランシスコがラウダート・シの中で「すべての命を大切に」というメッセージに大きなヒントがあると思います。この一年、幼稚園で子供たちに、プロジェクターを使いながら、「すべての命を大切に」することを伝えてきました。